グローバルビジネスで「英語より大事な技術」なんてあるのだろうか

プレジデント・オンラインに興味深い記事があったので、紹介ついでに思ったことを。

記事のタイトルが「グローバルで求められる英語よりも大事な技術」と銘打たれていたので、

いったい何なのだろうかと小躍りしながら読んだら、

まったくの”踊り損”だった、という話。

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この記事を三行クッキングすると、こうだ。

・社内研修等で英語をみっちり鍛えたハズの日本人社員が海外で通用していない
・特に、感情が露わになりやすい「社内コミュニケーション」でのトラブルが多い
・だから、相手の文化や習慣を理解したうえで、上手にコミュニケーションしよう

そして思った。

これは、多くのビジネス・パーソンが「とっくに知ってる話」なのではなかろうか。と。

そして結局は、英語力の問題なんじゃないか?と。

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異文化コミュニケーションは150年前から存在している

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極端な話、「異文化コミュニケーション」なんてものは、

1854年にペリー提督が浦賀に来航されて以来かれこれ150年くらい取り沙汰されているわけで。

開国以後、明治・大正・昭和・平成と、

数多くの偉大な先人たちが、海外相手に丁々発止やりつつ日本を発展させてきた直近100年の間に

「異文化コミュニケーション”べしべからず”」

なんてものは、とうに確立されているハズだ。

その要点は、以下のような感じだろう。

・ 相手の立場に立って考えた内容を、

・ オブラートに包みつつも、

・ 意味のある発言に変換する

これを見た大半の方は多かれ少なかれ「まぁ、そうだよね」とお思いになるハズだ。

つまり、至極当たり前の話であり、

みな、そんなレベルのことは、重々承知しているのだ。

その一方で、多くの人が、

「オブラートにつつむ」

「意味のある発言に変換する」

こういった”ヒトひねりする作業”を、英語でできないのだ。

だから、トラブルになるのだ。

「文化や習慣の違いを意識せずにコミュニケーションしてしまう」

こんなド直球な人、果たしてこのグローバル時代に何人いるのだろうか。

「わかっていても、言葉の壁ゆえに、自分の言いたいことを上手に伝えられていない」

その結果、

「否応なしにド直球な球を放ってしまい、会話のデッドボールが多発している」

そういう「わかっちゃいるけどやめられない」カッパエビセン状態なんじゃなかろうか。

例えば、ドタ欠勤が頻発している子持ちシングル・マザーへの対応。

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日本語なら「理想」の対応ができて当然。だが、英語だと難しい。

おそらく、

「仕事と家庭の両立」

「子育て世代」

「ベストな環境で働いて欲しい」

「シッター補助金」

「上手に進めて行けるよう、一緒に考えてみませんか?」

このあたりの単語や表現がスラスラ言えないから、

泣く泣く、ド直球なデッドボールを放る結果に陥ってるのでは。

そしてこれ結局は、英語力の問題だ。

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私がロール・プレイでフルボッコにされた話

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上で述べた内容は、私の過去の苦い体験に基づいている。

たいていのビジネス・スクールでは、

「多文化混在の職場をどのようにマネージするべきか?」

といった感じのテーマで演習(ロール・プレイ)をする機会がある。

私が覚えているだけでも、以下のようなケースを演習した。

ケース1)
重要な会議当日、キーマンである部下が宗教上の理由で急きょ欠勤を申し出てきた。
どう対応する?

ケース2)
部下同士が社内恋愛。だが男性側が実は既婚者(つまり不倫)だった。
ちなみにその男性は、一夫多妻制の文化圏出身者である。
誰をどう裁く?

ケース3)
営業成績抜群だが、ドタ欠勤が多い子持ちシングル・マザー。
他の同僚から「あの人が休むせいで、自分らの負荷があがっている」との不満。
どう対応する?

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ちなみに私は、ビジネス・スクールに来る以前

「ロールプレイって、言うても、劇の一種でしょ?」

とタカをくくっていた。

そしてこれは、東京ドーム3個分くらいの壮大な勘違いだった。

わたしをはじめ、日本人のマインドセットだと、こういう場では

「え。なんか、本気でやるの恥ずかしい…」

みたいな感じになる人が少なくないと思う。

それで結構な割合で演習が「なぁなぁ」で終わる気がする。

一方。

ビジネス・スクールのクラスメイトは、真逆の反応だった。

「将来、実際こういう場面に遭遇する可能性があるから、今日この場で本気で演習しておく」

そして”120%全力モード”で臨む。

しかも、みな相応の社会人経験を積んでる人たちなので、迫力がある。

今風に言うと「マジで、ガチで、演じる」のだ。

途中で涙ぐむ人だっているし、

怒号が飛び交う一歩手前くらいまで、フツーにやる。

だから私も考え方を改め、全力で臨んだ。

で、言葉の壁にブチあたった。

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異文化コミュニケーションで大事なのは結局は「英語」

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当時の私は、思っていることの半分も英語で言えなかった。

上記いずれのケースも、日本語だったら的確にサバけていたと思う。

だが、残念ながら英語ではそう上手いこといかなかった。

そしてひとえに、自身の英語力不足を痛感した。

当時は「一夫多妻制」や「不倫」などのセンシティブな内容を英語で論じることができなかった。

「奥さんが会社に怒鳴り込んでくる前に~」

と言おうとして

「…『怒鳴り込む?』って何て言うんだ…?」

みたいな感じで、発言にブレーキがかかりっぱなしだった。

で、どうにか四苦八苦しながらも思いを伝えるものの、

直後に相手方から

「ペラペラペラ!ペラペラ~?ペラ!ペラペラペラぺ!?」

(訳:君の言わんとしていることはわかるけど、僕らは「奥さんを何人持ってもOK」という文化なんだ!それに、人類全体のことを考えたら、僕みたいな優秀な人間の子孫を一人でも多く残したほうが良いだろう?今回は女性のほうだって合意していたわけだし、そもそも僕は相手が既婚だなんて聞いていない。なんか、僕らの文化を真っ向から否定された気分で非常に不愉快だ。そんな状況で仕事できるなんて思う?!)

みたいな感じで返され、無事に昇天。

ロール・プレイの途中、幾度となく三途の川へお出かけした。

そして川のほとりにひとりたたずみながら、こう思った。

「結局は、英語だ」と。

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プレジデントの記事を読んで感じた”違和感”

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今回のプレジデントの記事に、以下のような示唆があった。

(以下、引用)

例えば、先ほどの文章を私が直すならば、以下の2つが改善ポイントになります。

1)「You」のように責任のありかを特定してしまう名指しした文章にしないこと。

2)責任の追及ではなく、改善方法について触れること。

(引用元:http://president.jp/articles/-/21561?page=3)

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これ、日本語だろうと、英語だろうと、同じじゃないか。

日本語で仕事してたって、

責任のありかを特定してしまう名指しの文章」なんて使わないでしょう。

もしそんなことしてる人が職場にいたら、今風に言うと、KYだ。

だから、日本のビジネス・パーソンにとって真に大事なのは、

今回プレジデントの記事で言及されていたような

「文化や習慣の違いを意識したコミュニケーションは大事だよ」なんて話ではなくて。

❖ 自身の言いたいことをオブラートにつつむための言い回し

❖ ジェンダー、宗教観、文化の違いなどの議論に耐えうる語彙力

❖ 自身の意見を、意味のある形にサマライズできる表現力.

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こういう具体的な分野をどうやって強化するのか、という点なんじゃないかと思う。

◆ ◆ ◆

記事の中に、

「多くの日本企業が、社内の英語研修を打ち切りにしている」とも書いてあった。

それらの「英語研修」って、

・全社員にオンライン英会話(全50回)の受講を推奨しています

・週一回、1時間、業後に英会話コーチとの練習機会を設けています(半年間)

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みたいなケースが多いと思うんだけど。

そういうのって、実戦に耐えうる学習方法になっているのだろうか。

本気で取り組むための環境づくりはなされているのだろうか。

リアルなシチュエーションに耐えうる講師、教材が提供されているのだろうか。

◆ ◆ ◆

今回のプレジデントの記事は、

「グローバル・ビジネスで英語より大事な技術」

というタイトルだったけど、

実際読んでみたら、プレジデント読者であれば誰しも知ってるような内容が書かれているだけだった。

そもそも、グローバルでビジネスする上で、

最前線で使う「ツール」である「英語」より大事なものなんてないんじゃないの、と思った次第。

相手の文化を深く理解していようが、

相手の習慣に精通していようが、

金融政策について博士レベルの知識があろうが、

結局は口から英語を出せなきゃ、なんにもならんだろう、と。

英語力を正しく強化するためには、社員がどのようなトレーニングを積むべきなのか、

企業はそれをどうサポートするべきなのか、

そんな感じのことを書いてくれたほうが、楽しく読めたなと思う。

今回は連載一回目のようなので、続編があるようであれば、是非読んでみたい。

お し ま い

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