英会話で使役動詞を使う方法

英会話学習者の鬼門と言えば「使役動詞」と「仮定法」だと思います。

これらは「意味はわかるが使えない」の代表格な気がします。

ただ、英会話において上記2つのアイテムが使えないのは、
マラソン選手が給水無しで完走しようとする行為に等しく、
水泳選手がゴーグル無しで泳ぐ行為とほぼ同義です。

つまり、不可能ではないけど、どちらも超ツライ。
本来の力の半分も出せていない、という意味です。

というわけでここから二回に分けて以下を説明いたします。


●「使役動詞」と「仮定法」がなぜ使いづらいのか
● どうやれば英会話でこれらを使えるようになるのか


本稿ではまず「使役動詞」について。
次稿で「仮定法」について記載します。

※注※
以下、けっこう長いです。読み終わるのに10分近くかかります。
ただ、頑張って読んで頂ければ、きっと目から鱗が落ちると思います。

使役動詞とは?(おさらい)

まずは10秒で分かる使役動詞講座(復習編)。

・使役動詞とは「have」「make」「let」「get」の4つ
・誰かに 何かを してもらう/させる際に使用
・主語 + 使役動詞 + 対象者[物] + 動詞の原形 の形で使う(但、getは例外)


I will make him do his homework this afternoon
(今日の午後、彼に宿題をやらせるわ)


 

 

なぜ使役動詞は使いづらいのか?

これはひとえに、私たちが使い慣れている英語の形ではないからです。

I eat Sushi ! (寿司を食う)
I drink Sake !! (酒を飲む)

私たちは英語を習い始めた中学一年の時に、まずこのような基本形を習います。

ここには動詞は一つしか登場しない。
そのため「英語とはこういう形の言語なのだ」と思い込む。

そして、この状態で中学三年間の英語学習を終える。

やがて高校生になり、初めて使役動詞という文法事項を習う。
(注:公立中高の学習指導要領に基づく場合)

それまでの三年間「動詞ひとつ」のピュアな世界で過ごしてきたのに、
ある日いきなり、


・はい、今日は使役動詞の勉強です
・実は世の中には使役動詞というものがあって、人に何かをさせる時に使います
・使う際は「make + 対象 + 動詞の原形」です

・あ。他にも have や let や getもあります
・でも、getを使う時のみ、動詞は原形ではなくto不定詞になります

・ちなみに、makeは「強制」、letは「許可」のニュアンスなので目上の人には使いません
・でも get や have にはそういう意味はないので、迷ったらこの2つを使っておけばオッケです

・あ。最後に。使役動詞を受動態にする際には原形じゃなくてto不定詞を使ってね。では。


 

とか言われる。
開始1分で失禁、もう1分後には昇天である。

これまで「動詞は一つの文にひとつだけ」の世界でピュアに育ってきたのに、
ある日いきなり「謎の使役動詞と大量の文法事項」をブチこまれる。

これは例えるなら、

両親から「お前は大事な一人っ子だよ」と10年間大切に育てられてきたのに、
ある日、学校から帰ってきてリビングのドアを開けたら
見知らぬガチムチ兄貴がソファーに座っていて、


・やあ。はじめまして。僕は君の腹違いの兄だよ
・実は、君のお父さんが過去にちょっとヤンチャしてね
・今日から君と一緒に暮らすことになったからよろしく

・あ。ちなみに僕は君より年上だから、敬語使えよ
・でも、親が見ている前ではお互いタメ語で話そう

・ちなみに、風呂の順番はいつでも俺が先。朝の洗面所も同様ね
・でも、土日だけは君が先でもオッケー

・あ。最後に。家の外で僕のことを呼ぶ時は「さん付け」で呼んでね。じゃ。


 

みたいな状況とほぼ同じです。
こんな人と仲良くやれるわけないのです。

それでも、使役動詞は受験に必要なので、必死にこれらの文法事項を丸暗記し、
センター試験御用達のひっかけ問題「getの後はto」を忘れまいと、

「getの後にはto、getの後にはto、getはto、ゲットゥー、ゲットゥー… …」

みたいな呪文を唱えながら日夜暗記に勤しむ。

「なぜそうなの?」を理解しないままこの「新参者」に対処するため、
当然、いつまでたっても使役動詞は「苦手なアンチクショウ」のまま。

めでたく、20代後半まで使役動詞を実戦で使えない私のような人間のできあがりです。

 

英語は素直な言語。使役動詞も、やはり素直。

先のとおり、私のような純ドメ人間の感覚としては、
一つの文に2回動詞が登場する

「I will make him do his homework」

このような形はどうもしっくりきません。

そこでまず、サクッと「なぜそうなるの?」を理解しましょう。
これで、世界がガラっとかわります。

それでいてあっけないほど簡単に理解ができるので
もし現時点で昇天済の方は、どうか今だけ戻って来てください。

ポイントは、以下の二点。

・英語は「頭作って、尻伸ばす」言語
・使役動詞は「後ろから抱きつく」イメージ

以前の記事で書いた通り英語は大事なことをまず初めに言い、
そこから順に文章を延ばしていく。
つまり「頭作って、尻延ばす」タイプの言語です。

これを念頭に、次の例文が出来上がる過程をコマ送りで見てみます。

今あなたは「彼に宿題をやらせたくてしかたない状態」と仮定してください。


I …
(←スタート)

I make him
(←ここで、まず、彼の背後からガシっと抱きつく。彼ゲット。)

I make him do his homework
(←後ろから抱きついた状態で、彼の手を取り鉛筆を握らせ宿題帳に答えをかかせる)


have

 


 

小学生が鼻で笑うレベルの絵でどこまで伝えることができたか謎ですが。

「誰かに何かをさせる」場合、

・まず、その「誰か」を捕まえて何かをやらせる形にする ( I make him)
・そして、実際にその誰かに「何かをやらせる」(I make him do his homework)

以上の「話し手心理」ゆえに、使役動詞はこのような語順になります。

誰かに何かをやらせる/やってもらう際に、
依頼人(話し手)の意識は相手に向かっています。

I make homework でもなければ
I make do でもありません。

とにかく「彼に」やらせたいのです。ゆえにまず、

I make him

そして、その彼が「宿題をする」ようにしたいので

I make him do his homework

という形になります。

使役動詞を用いた文章に動詞が2つ出てくるのは、
まず誰かを捕獲して何かをやらせる準備をし(make)、
続いて、その誰かが実際に何かをやる(do)からです。

長くなりましたが。
ご覧の通り素直に頭から文章を作っていくだけです

 

動詞が原形になるのも、やはり英語が素直だから

少々こまかい話ですがせっかくの機会なので解説します。

なぜ二番目の動詞「do」が原形になるのか。
「彼がやる」のであれば、

 I make him does his homework

ではないのか?

これも至極単純。英語は素直だからです。

英語は「頭作って、尻伸ばす」言語だと再三申し上げてきました。
つまり、大事なことは先頭でまっさ先に言っておく。

ゆえに「I will ~(未来)」とか「I did ~(過去)」とか、
話始めた直後の”形”で「だいたいいつの話をしようとしているのか」が分かるようになっています。


一方、日本語は真逆で、

「私はスーパーで買った寿司を近所の公園で娘と一緒に食べ… … … …ます  」(現在)

なのか、それとも、

「私はスーパーで買った寿司を近所の公園で娘と一緒に食べ… … … …ました 」(過去)

はたまた、

「私はスーパーで買った寿司を近所の公園で娘と一緒に食べ… … … …るつもりです 」(未来)

上記のどのパターンになるのかは、基本、
最後の最後まで聞き手には明かされない

(「私は明日~」とか「私は昨日~」とか、
  時制を強調するための副詞を冒頭で使うケースはのぞきます)


もとい、「頭作って、尻伸ばす」英語の世界では、
重要なパーツや機能は文章の前へ前へ寄せようとする力が働いています。

そのため「時制」だとか「三単現のS」だとか、
そういう文章の全体を左右するような重要な処理は、
第一動詞である「make」のところまでで全て終了するのです。

誤解を恐れずに言うと、

必要な処理は前半のうちに全部終えた
・よって、後半で出てくる2つ目の動詞は裸(原形)のまま置いとけばいいや

という心理です。

make

 

あり得ない話ですが、もし仮に、
英語が超絶丁寧な処理を行う世界だったら。

「I will make him will do his homework」 (←???)

という形になるのかもしれませんが、聞き手からすると、

・ いや、冒頭で「I will…」って言ってんだから、未来の話なんでしょ…?
・ わざわざ「him will do」 とか、二度言わなくてもわかるよ…will will うるさぃよ

みたいな感じになるハズです。
なので、2つ目の動詞は原形が良いのです。

英語は素直な言語。メンドくさい処理は好まない。

 

使役動詞を実戦で使うために

実際の会話で使役動詞を使うためのコツ。

まず「使役動詞を含む定番フレーズ」を暗記し使い倒すことで
使役動詞が持つ特有の語感に慣れると良いです。

例えば以下のようなカタマリで覚えちゃう。


What made you think so?
(なんでそう思うの?)(← 直訳:何があなたをそう考えさせたの?)

How does that make you feel?
(その結果、君はどう感じたの?)(←直訳:それはあなたをどういう気持ちにさせた?)

I’m just letting you know 
(念のため、あなたに~だということを伝えておきますね)

I just wanted to make it seem like ~
(私は単に、~を~な感じに見せたかっただけです)

That would probably make you look like
(それだと、あなたは~なように見えるかもしれないよ)


 

ちなみに実際の会話では

「ワシは昨日、ジョンに庭の手入れをしてもらったんじゃよフォッフォッッフォ」

みたいな「こってこての使役表現」を使う機会はそれほど多くなくて、
代わりに、上で挙げたような

使役っちゃあ、まぁ使役

といったケースのほうをむしろよく使います。


That would probably make you look like you are stealing some apples.
(それだと、きみ、リンゴを盗んでいるかのように見えちゃうんじゃないかな)

★ リンゴの木の下でラジオ体操してる友人へ向けた一言。(李下に冠を正さず)
 「○○やらせる」「○○してもらう」という「こてこての使役」ではない点に注目


 

この「make it seem like」 とか 「make you look like」とかを使えると、
「自分が言いたいことを言える感」が格段にあがります。なので、

「make you look like、make you look like、メイキュールックラィ、メイキュールックラィ… … …迷宮落雷?」

みたいな状態になるまでひたすらつぶやくと良いです。

それで、迷宮に落雷するレベルにまで達したら、
こんどは積極的に、使役動詞を使った脳内作文をしつつ会話するようトライします。
守・破・離の精神です。

再三ですがポイントは「素直に先頭から作文」。

最後に実用的な例を挙げて、
この鬼のように長いブログをおしまいにさせて頂きます。
記事をさらに分けるべきだったと反省しています。

もとへ。

以下の例文では、

・あなたは数日前に、隣の部署に資料作成をお願いした
・本日「例の資料作成、終わったよ~」との電話が先方からきた
・その電話口であなたは「私のアシスタントのロイに、今日の午後取りに行かせるわ」と言いたい


 

相手:
 Hi, the deck’s been ready. When would you come pick it up?
(おつかれ。例の資料、できてるよ。いつごろ取りにこれそ?)

自分:(注  I think~以降はコマ送り)

Ah… Thanks … I think…

I think

I think I will

I think I will have Roy… (←まずRoyをキャッチ)

I think I will have Roy pick them up… (←Royを操ってpick upさせてるイメージ)

I think I will have Roy pick them up this afternoon. (←補足情報を付け足して完成)

(あ~。ありがとう。えーと、今日の午後、Royに取りに行かせるわ。)


 

ちなみに、上の例では「let」でも「get」でも「make」でもなく、
「have」を使うべき明確な理由があります。

もし、この部分が腑に落ちないようであれば、
本稿末尾の「おまけ」も併せてお読み頂ければと思います。

 

 

まとめ

本稿では、使役動詞について以下の点に触れました

● 使役動詞は分かっていても使えない。理由は語順に慣れていないから
● まずは「なぜそうなるのか」を理解することが大事
● そのうえで、素直に頭から文章を作っていけば、自ずと使役動詞は使える

めちゃ長くなりましたが、まとめるとこんな感じかと。

 

[おまけ] make, let, have, getの違い

これらのニュアンスの違いも、ついでに理解してくと良いです。

1.Make

まず「make」。これは相当強い。
なんせ「I make him ~」のとおり「彼をmake」する。
先の例でも見た通り、対象をガッツり操作する。

そもそも「make」の原義は、

「(叩いたり削ったり)対象に力を加えて何かの形を作る」

なので、抱き着いた挙句にフルボッコにして無理やり何かをやらせるイメージ。

宿題が終わった後の彼の両腕は複雑骨折していても不思議ではない。

というわけで、使役動詞「make」には「強制」のニュアンスが出ます。
ゆえに「上司や目上の人にはmakeは使わない」と教わるのです。
なぜなら、上司をフルボッコにしてまで何かをやらせるなんてこと、通常ありえないからです。

 


I made him do his homework
(= I forced him to do his homework)

彼に宿題を無理やりやらせた

★ 遊んでばかりいる弟にキレた兄が無理やり「おまえ、宿題やれや!」と強制しているイメージ


 

2.Let

一方、「let」はその逆で「許可・譲歩」になります。
弟が「宿題やりたいよ~、やらせてよねぇ~お願いお願いお願い~」
と言ってくるので、「そんなにやりたいならいいよ。やってよし。」という感じ。

ただ不思議と、この「let=許可」については、多くの人が理解しているような気がします。


I let him do his homework
(= He wanted to do his homework, and I decided to allow him to do so)

彼に宿題をやらせてあげた


 

3.Have

have は make と let の中間です。
別に、弟は宿題を嫌がっていたわけでもなく、かといって、やりたがっていたわけでもない。

この「強制でも、許可でもない」というところがミソで、
つまり「(やるのが当然だったので)やらせた」もしくは「やってもらった」になります。

あくまで「have」なので、単に対象者をつかんでいるだけ、という感じ。
makeのように叩いたり削ったり、という外圧を加えるレベルまではいきません。


I had him do his homework
(彼に宿題をやらせた)

★ 自身は家庭教師で「彼」は自分の教え子。
「ほれ、宿題やんな。隣で見ててやるから」 というイメージ。

 

I will have Roy pick them up this afternoon.
(今日の午後、ロイに取りに行かせるわね)

★ (先ほど上で挙げた例です)
アシスタントのロイがあなたのために資料を取りにいくことは自然な話なので、
haveを使います。強制(make)でも許可(let)でもありません。


 

4.Get

Getのみ唯一「I get him to do his homework」という形を取ります。

「get」は「対象をひょいっとつかむ」イメージであり、
ひょいと掴んで持ち上げたその対象は、どこかに着地させないといけない。

この「どこかに」という方向を定めるために「to(~のほうに)」が登場する。
なので、Getの場合のみtoと一緒に使います。

「Make、have、let」には、Getのような「ひょいと持ちあげる動的なイメージ」はなく、
あくまでその場で Make なり Have します。

また、このGetが持つ「動的なイメージ」ゆえに、Get ~ to do ~ は、
「~を ~の方向へグイっと向かわせる」→「説得して何かをやってもらう」ニュアンスが出る。

以下の例文は、Make、Let、Have、Getを総合した非常にわかり易い例なので、
この文章を通じて、是非ともニュアンスの違いを理解して頂ければと思います。


 

At the restaurant, ❶ I got the waiter to give us a corner table by the window and ❷ had him recommend the best Bordeaux in the house.
レストランでウェイターに頼んで何とか窓ぎわの角テーブルにしてもらい,当店の最高のボルドーを選んでもらった

When he brought the wine, he seemed so sincerely interested in its flavor that I decided to ❸ let him try a small glass of it himself.
ワインを持ってきたそのウェイターは、その味を本当に知りたそうに見えたので,グラスにほんの少し味見をさせてあげようとした

But before he was able to drink any, he somehow managed to spill the whole thing across our table, and I became so enraged that I ❹made him wipe up the mess with his own handkerchief.
ところがまだ口もつけないうちに,ワイン全部をテーブルにワッとこぼしてしまった.私は激怒して 彼自身のハンカチで全部きれいにふきとらせた.)

➊ get… to… (少々特別に…してもらう)
❷ had (当然してもらう)
❸ let (少々特別に…させてあげる)
❹ make (無理やりさせる)

引用:Mark Petersen「続・日本人の英語」, 岩波新書, 2013


 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

お し ま い

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